2005年04月26日

オペラ歌手のお腹と背中

4月25日

吹原くんのツテで、オペラ歌手の方が、
発声の指導に来て下さった。
演劇の発声とオペラの発声は、もちろん違うから、
中心は、発声の前段階、つまり、
腹式呼吸のトレーニング方法についていろいろ教わった。
僕ももちろん役者として参加したけれども、
内心では、どういう風に伝えるのかということをずっと見ていた。

プロの凄み、というか、そのオペラ歌手の彼女の強みは、
自分の身体を使ったデモンストレーションに説得力があるところだと思う。
まず、彼女が複式呼吸をすると、
見た目にもありありとわかるくらい、圧倒的にお腹と背中が動く。
次に、そのお腹と背中を、実際にさわらせてくれて、
腹式呼吸を実感できるように、手伝ってくれる。

彼女のデモが終わると、僕らは四つん這いにさせられた。
その状態で、呼吸をすると、立ったままの状態よりも、
空気がどこに入っていくのかが自分で感じられる。
見ている人も、背中のどの部分が膨らむのか、
腹式呼吸のディテールをビジュアルで捉えることができる。
このディテールのビジュアルってすごく説得力があるのだ。

役者の場合、頭でわかっても身体で表現できなければ意味がない。
だから、口でうまく説明することも大切なんだけれども、
自分の身体にどういう変化が起こっているのかを、
その人自身が自分の身体で実感できるか、
それが伝え方の大きなポイントになる。

自分でやってみた感想だと、
自分の身体のどの位置にどういう筋肉があって、
それが横隔膜とどうつながっていて、
腹式呼吸だと周辺の筋肉とのバランスはこうなるんだ、
というのを頭で整理できると、うまくできた。
僕は、腹式呼吸と単純な発声だけだったら一番ほめられたね。

でも、それと、台詞として発することはまた別。
そういうのは全くできなくて、みんながあきれていた。
だから、腹式呼吸ができることと、
腹式呼吸をしたまま台詞を発することは違うし、上乗せする技術が必要。
動きながら腹式して台詞を言うのは、さらに技術のステージが違う。
僕らには圧倒的に、技術とそれを習得するための鍛錬が足りない。

プロの凄みに唖然としながらも、その遠い背中が見えたことが嬉しかった。
posted by 鈴木厚人 at 10:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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