2005年03月13日

レッドルームレディオ -飛ぶ劇場の人を喰った芝居-

このブログには、
名(迷)エントリーなるものが過去にはあって、
その一つが、
"「地方演劇にたいしたものはない」への反論"
http://inzou.seesaa.net/article/682504.html
である。

その時に紹介していただいた劇団の東京公演、
飛ぶ劇場「レッドルームレディオ」を池袋に観に行った。
そして、今の私にとって、非常に貴重な演劇体験になった。
胸が痛くなるほど考えさせられたからだ。なぜか?

正直、お芝居は面白くはなかった。
演出や役者について何が悪かったとかはここでは述べない。
もちろんプロ(?)だからうまかったとは思うし。
ただ、台本については、本当に考えさせられた。
私が書いた「幸服」とすごく似ていたから。

まず、どんなお芝居だったかを5行で説明しよう。
地球温暖化を含めた環境破壊が深刻になった地球の、
明日にも世界は破滅するという終末観が跋扈しているある町で、
レッドルームレディオなるインディーズのラジオ番組が流行っていて、
それは、リスナーが自分の変態性や奇行をパーソナリティーに報告する、
という趣旨で(あ、5行を超えます、ゴメンなさい)
そのラジオ番組を中心に、事件が起こっていくというお話であった。

私の胸に突き刺さったのは、
そのお芝居の中の世界では、環境破壊の影響で肉が取れないため、
人食いがなされるからである。だが、よくよく考えると、
物理的な飢えからだけが原因ではないように思える。
現代の閉塞感からの脱出、それを託して人食いがなされる、
そんな風に感じさせる人食いだった。
だが、これが非常に私には不快だった。驚くべきことに。

実は、「幸服」も人食いの話である。
http://inzou.seesaa.net/article/2094254.html
で書いたように、
>孤独な人間が家族を食べて、空腹と孤独を埋め
ようとする女の話なのであった。
だから、これから吐かれる言葉というのは、
自分自身に対しても言っておきたい。

確かに、現代というのは、あらゆる種類の閉塞感が漂い、
生きるに価値を見出せないかもしれない。
けれども、ストーリーテラーとして、
劇作家が物語を語るということに意味を見出さないとしても、
今を生きる者のつむぐ表現の結果として、
その閉塞感を、ただ人を食う、ただ人を殺す、
あるいはそれに類似した行為で表すのは、安易に過ぎないか?

「レッドルームレディオ」は安易であったと思う。
絶望の表現として、人食いという行為を選んだことが。
「レッドルームレディオ」は安易であったと思う。
不自由の表現として、殺人という行為を選んだことが。

要は、安易なのだ。
人は絶望したら人を食うのか?食えないだろう。
食えさえもしない、つーか、人の肉、食えるほど絶望した奴は、
結構、たくましく生きていくんじゃないかと思う。
つまり、人を食える奴は絶望しない。
人を食うことを頭で考えてるだけの奴が絶望していくのである。

人間とは何か、幸福とは何か、
そういったちょっとお堅いコトを考えてしまうよりも、
今日の前髪が決まらない、とか、
体重を気にして大好きなスウィーツ食べれない、とか、
でも大好きだからやっぱり食べちゃった、とか、
そういうもっとどうでもいいようなことの中にこそ、
描くべきものがある、そんな気が最近はしているのだ。
posted by 鈴木厚人 at 03:03| Comment(2) | TrackBack(2) | 舞台レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
自分も観たけど、あの人喰いは、取り込むとか子孫を残すとかの話と一緒になってて、要はセックスのメタファーでしょ?と思ったけど。
どんなエグイセックス描いても平凡になるから究極のセックスとしての人喰いなんじゃないの、と。
そのセックスも、コミュニケーションってジャンルの話だな、とも。
「それコミュニケーションじゃないじゃん」と言われるようなことを指して、でもそういうふれあいって、人間、求めちゃうよねーみたいな。

絶望したら人喰うかぁ?って、それこそ安易な・・・w
Posted by doumo at 2005年03月13日 10:28
>doumo さん

コメントありがとうございます。
究極のSEXとしての人喰い、
つまり、かまきり的SEXということですよね。
でも、それって究極なのかなあ。

極端ではあると思いますが。

もしよかったら、もっと詳しく、
感想をお聞かせくださいませんか?
Posted by 鈴木厚人 at 2005年03月13日 12:37
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